こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか。
基本情報
タイトル:青の炎
著者:貴志祐介
出版社:角川書店
カテゴリー:小説
満足度:★★★★★/5
映像化:2003年映画化。漫画化。
あらすじ
家族3人で平和に暮らしていた高校生秀一の日常に突如現れる義理の父という侵入者、警察も法律も家族を守ってくれないと知った秀一は自らの手でその侵入者を葬り去ることを決意する。
登場人物
*櫛森秀一
この物語の主人公。優等生の高校二年生。
家族思いの優しい性格だが、家族を守るためには手段は選ばない。
*曾根隆司
秀一の母の元夫で、秀一とは血縁は無し。
突然現れて櫛森家に強引に住み着く。幼いころの秀一に暴力を奮った過去あり。
コメント
貴志祐介さんの作品はどれも好きで読んでいるが、一番初めに読んだこの「青の炎」が何冊も読んだ中でもいまだに一番だと感じる。
高校生の秀一が、突然現れた暴力的な大人という異物から、家族を守るために周りに助けを求めるが、大人は誰も助けてはくれない。
自分で何とかしようと決断してからの殺害計画の準備、そして実行は計画的に進んでいくが、高校生という子供が何とかして完全犯罪を成し遂げてからのその後が本番。
人を殺すということがどれだけ心の負担になるのか、隠し事をする事がどれほどストレスになるのか、そんな秀一の感情が読んでいると、自分自身があたかもその状況にいるように感じるほど、入り込みやすい小説だと思う。
それと読了後の後味はスッキリとはしない。
胃に何か重いものがズーンと残るような感じだ。まぁ、貴志さんの本ってどれもそんな感じでそれが良いところですけど。
”この人間は、不正な行動を取ったので、強制終了されます・・・。”
byしろくま
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