しろくまライブラリー

きなこわらびもち(うさぎ)と元図書館司書2匹の日常。本、映画、ご飯、色々あるよ。

【小説】「大人になったら、」畑野智美

8年ぶりに、恋をした。

大人になったら、 畑野 智美(著/文) - 中央公論新社

基本情報

タイトル:大人になったら、

著者:畑野智美

出版社:中央公論新社

カテゴリー:小説

満足度:★★★☆☆/5

映像化:なし

あらすじ

 35歳。周りの女性は多くが結婚していて、子供もいる。自分は結婚していないどころか、恋人もいない。仕事ではカフェの副店長というポジションに就き、そこそこ充実しているが、これからもこのままで良いのだろうか…。悩みながら日々を過ごしていたメイに、しばらく忘れていた恋の予感が訪れる。

登場人物

*葛木メイ(かつらぎ めい)

主人公。35歳で独身。東京都内で一人暮らしをしており、カフェチェーン店の副店長として働いている。10年前に恋人と別れて以来、恋愛とは縁がない。

*杉本君

メイの後輩社員。新卒で入社し、メイが働く店舗へ配属された。背が高くて顔がいい。性格は少々生意気。

*みっちゃん

高校からのメイの友達で、同じく独身。広告会社に勤めている。言い方がややきついところもあるが、友達思い。

*大ちゃん

高校からのメイとみっちゃんの男友達。同じく独身で、よく3人で食事をする仲。知人と起業し、会社の専務を務めている。

*羽鳥先生

メイが働く店舗の常連客。いつも決まった時間に来店し、決まったメニューを注文する。


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コメント 

細かいことはよう言いませんが、ふぇれっとは大体この小説の年齢層に当てはまります。年齢に見合ったものも読んだ方が良いよねと思い、手に取りました。なお、畑野さんの著作は2冊ほど読んだことがあり、『水槽の中』という本がめちゃんこ気に入っています。機会があったら記事にしますね。

さて今回の小説、『大人になったら、』と、タイトルの最後に句点が付いているのが気になります。大人の年齢になったは良いが、はたして自分は真っ当な大人なのか、という悩み?疑問?が見え隠れしているように感じました。

初婚年齢だとか未婚率がなんだとはよく言いますが、30代前半には結婚してるのが普通かな、みたいな空気は今も漂っています。でも産休取って子供を産んで、少し落ち着いたらまた働いた方が良いよね、という風潮もあります。さらに、女性でも仕事でどんどんキャリアアップしていくことも良きとされています。主人公のメイは、この女性30代問題に見事にぶち当たり、仕事や恋愛についてどうしていくのがベストなのか、悩みに悩みます。ジャンルとしては大人の恋愛小説ですが、年齢による仕事に対する考え方の違いなんかも丁寧に書かれており、共感するやらなるほどと思うやらです。

完全女性向けの小説ですが、恋愛ものに抵抗がなければ男性の方にもおすすめしたいです。女性30代問題の理解にもなりますし、意外と男性の登場人物が多くてバラエティに富んでいます。大ちゃん、マスター、杉本君あたりが良きです。

 

 

 

 

 

”わたしは一体、大人なのだろうか、子供なのだろうか。”

 

byふぇれっと