司書の読みもの【小説】
それは本のプロフェッショナルである、司書のしろくまとふぇれっとが読んだ、好みに偏りまくった本についての感想と紹介である。
もちろんネタバレ全開だー!!
思ったことをダイレクトに表現しますぞ。
僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。
あらすじ
ある動画をきっかけに、常盤優我が男に語り始めるのは、自身の生い立ちのこと。
双子の弟・風我と共有している特別な「アレ」………誕生日に二人の身体が「入れ替わる」こと。そして、その「入れ替わり」に関連した出来事や周囲の人々のこと。
コメント
伊坂さんの本は、かなり前に1冊だけ読んだことがあり、細かい部分は忘れてしまったのですが面白かったと記憶しています。
久しぶりということもあり、新しめの作品を読んでみたのが、これがまぁ良かった。
前情報なしで臨みましたが、表紙に小さく書かれた”TWINS TELEPORT TALE”、このワードで十分です。
優我が語るのは、このTELEPORT=瞬間移動の話。
ただし物語のベースとして、優我たちの家庭には暴力を振るう父親が存在し、双子の胸中には「弱いものを力で支配しようとする人間」への強い敵対心があります。
彼らは常に、この敵対心に則って行動をしている。
やり方はかなり荒々しいですが、読んでいて嫌な気持ちにはなりませんでした。
伊坂先生ってすごいんだなぁ。
個人的に好きな部分は、風我が学校の先生に対して言った「二人で一人前という形でやっていく」という言葉。
何気ない場面ですが、双子が互いを思い遣っている感じがあって良きです。
また、本作の帯文句の中の「だけど僕たちは、手強い。」もすごく好きです。
そう、手強いという言葉がピッタリなんだ。
満足度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 5/5
本の情報
タイトル:フーガはユーガ
著者:伊坂幸太郎
出版社:実業之日本社
カテゴリー:小説
ページ数:284ページ
映像化:なし
ISBN:978-4408537320
備考:2019年本屋大賞ノミネート
登場人物
*常盤優我(ときわ ゆうが)
作中の語り部で双子の兄。
風我に比べると勉強が得意で、慎重なタイプ。
*常盤風我(ときわ ふうが)
双子の弟。優我の2時間遅れで生まれた。
優我に比べると運動が得意で、感情が行動に出やすいタイプ。
*高杉(たかすぎ)
フリーのTVディレクター。
ある動画の内容について詳細を聞くために、優我に会いに来た。
人の話に対して良い反応をしてくれない。
”僕の弟は、僕よりも結構、元気です。”
byふぇれっと