司書の読みもの【小説】
それは本のプロフェッショナルである、司書のしろくまとふぇれっとが読んだ、好みに偏りまくった本についての感想と紹介である。
もちろんネタバレ全開だー!!
思ったことをダイレクトに表現しますぞ。
世界は、決してあなたを見捨てない。
あらすじ
とある公共図書館で働く人たちと、図書館へやってくる子供たちを描く、『虹いろ図書館』シリーズの第3弾。
小学6年生の山下かおりは、図書館常連のお話好きな女の子だったが、ある出来事をきっかけに冷たいお姫様に変わってしまっていた。友達を連れて図書館に来ても、司書のイヌガミさんを見てこそこそ話をしている。
冬の日、図書館のお手伝いをしているスタビンズくんとケンカをしてから、また図書館に通うようになったかおりだが……。
コメント
シリーズ3作目で、前作に『虹いろ図書館のへびおとこ』『虹いろ図書館のひなとゆん』があります。前作は2冊とも既読でして、非常に良かった。なお今作も良かった。
舞台はごく普通の公共図書館で、図書館での仕事の様子や、実在する絵本・児童書のネタが随所に出てくるところが心くすぐられる。
ストーリー自体は、子どもたちのいじめ問題や家庭事情が軸になっています。
今作については、心の中で暴れ出す負の感情を「かいじゅう」と表現していることが言い得て妙。ティーン向けの本のようなので(※)、このような想像しやすい比喩は良いと思います。
大人の事情も混ざりつつ、最後はじんわりあったかい読後感。驚きの真実もあるぞ。
図書館が好きな人は読むんだ。1作目から読むんだ。
ふぇれっと、この本スゲー推すじゃん……ついでに、もう一つ推しポイントなのですが、表紙に作中のモチーフがこれでもかと散りばめられているのが最高。
読みながらモチーフが表紙のどこに登場するか探す。細かく見るとボロボロ出てくる。
イラストを描かれているのは浮雲宇一さん。天才?
※図書館によって所蔵場所は異なると思いますが、ふぇれっとが借りた図書館ではティーンズコーナーに配架されていました。
満足度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 5/5
本の情報
タイトル:虹いろ図書館のかいじゅうたち
著者:櫻井とりお
出版社:河出書房新社
カテゴリー:小説
ページ数:256ページ
映像化:なし
ISBN:978-4-309-03009-8
登場人物
*イヌガミさん(いぬがみさん)
公共図書館で子どもの本を担当しているお兄さん。肌に緑色の部分があり、一部の人から「へびおとこ」と呼ばれている。
*スタビンズくん(すたびんずくん)
中学生だが、学校へ行かずに図書館の手伝いをしている。「スタビンズ」とはイヌガミさんが付けたあだ名で、本名ではない。
*山下 かおり(やました かおり)
小学6年生。友達からは「かおり姫」と呼ばれている。以前は図書館によく来て、イヌガミさんに色んな話や質問をしていた。
*ケン(けん)
小学6年生。図書館の常連で、イヌガミさんにとても懐いている。学校ではいじめられている。
”ぼくはそいつに『にくじゃが』って名前をつけた。”
byふぇれっと