しろくまライブラリー

きなこわらびもち(うさぎ)と元図書館司書2匹の日常。本、映画、ご飯、色々あるよ。

【司書の読みもの】「fishy」金原ひとみ 厄介な女たちの本

司書の読みもの【小説】

それは本のプロフェッショナルである、司書のしろくまとふぇれっとが読んだ好みにより偏りまくった本について感想と紹介である。

もちろんネタバレ全開だー!!

思ったことをダイレクトに表現しますぞ。

友愛でも共感でもなく、この刹那を愉しむ女たち

fishy 金原ひとみ(著/文) - 朝日新聞出版

あらすじ

 既婚者に思いを寄せる美玖、夫に浮気されている弓子、息をするように身分を偽って男と遊ぶユリ。3人は不定期に集まり、互いの話をする。

不倫をすること・されること、美意識、承認欲求、他者への意識……。彼女たちそれぞれが抱えている事情と共に、女性の激しい心情を抉り出す。

コメント

ここしばらく本を読む機会と気力がなく、まったく読書から遠ざかっておりました。

しろくまさんの勉強のために図書館へ同行することとなり、ふぇれっとは特にやることもないので、久しぶりに読書を再開した次第です。

主要人物である3人の女性は、年齢も家族構成もバラバラで、友達ではないが時々会って近況報告をし合う程度の付き合い。

この「ゆるやかな繋がり」をテーマにして執筆したと、作者の金原さんが言ったとか何とか。

ふぇれっとの感覚としては、不倫と自意識を素材にした本ですかね。

3人が皆、自意識と他者批判の塊で、誰も好きにはならないけれど、3人それぞれに共感する……というか、身に覚えがある部分がありました。小説家って立派だなあ。

他の方の感想を見ると、ユリについて、良いキャラをしているとか、こんな性格の人はちょっと嫌だと書かれているのを多く見ました。

が、私はユリのことを、大人の発達障害の性質を持った人だと思っています。

一度起こった怒りを抑えられないところ、自己乖離が見られるところ、思ったことがそのまま口に出てしまうところ等……。

あくまでふぇれっとの見解ですので、異論は大いに認めますとも。

満足度:⭐️⭐️⭐️☆☆ 3/5

本の情報

タイトル:fishy

著者:金原ひとみ

出版社:朝日新聞出版

カテゴリー:小説

ページ数:272ページ

映像化:なし

ISBN:978-4-02-251713-5

 

登場人物

*美玖(みく)

独身で、フリーのライターとして働いている。3人の中では一番年下。

自分の人生に対して悲観的になりがち。

 

*弓子(ゆみこ)

夫婦共働きで、2人の息子を育てている。3人の中では一番年上。

理想を曲げることに抵抗がある。

 

*ユリ(ゆり)

アパートの一室を仕事場にして、インテリアデザイナーをしている。

ストレートな物言いのためか、よく敵を作る。

 

”こんな面倒臭い人間に誰がした。そうやって責任主体を外に見出すところ何とかならないのか。そういうとこだぞ。”

byふぇれっと

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